飯笹信和(鎌倉彫)
“鎌倉彫を気軽に身近に”
父がロクロ師として鎌倉彫の木地を作っていた背中を見て、この世界に入った。
既に職人としては30年以上の経験がある。
周りの職人が断るような少し大変な仕事は全て彼のもとに集まってくる。
腕が良いことはもちろんだが、断りきれない彼の優しい性格が一番の要因。
お皿だけでなく、酒器やスプーンなど、気軽に使える商品づくりを心がけている。
伝統を守るだけでなく、新しいことにチャレンジしなければ衰退してしまう。
この危機感を持ちながら、新しい鎌倉彫のカタチを生み出すことを追求している。
小学生がおこづかいで鎌倉彫の箸を買っていく。
そのくらい鎌倉彫が気軽に身近な存在になって欲しいと夢を描いている。
「鎌倉彫職人・飯笹信和」
1966年 鎌倉市生まれ
1984年 漆器作りを開始
2003年 神奈川県知事賞受賞「器Y.O」
インタビュー
職人歴と鎌倉彫に携わることになったきっかけを教えてください。
高校卒業してからなので34年目ですかね。
きっかけは父がロクロ師として鎌倉彫の木地を納めていて、それを見ていたことですね。当時、漆塗り師が不足していましたし、「彫る」「塗る」ことで個性が出せる鎌倉彫に魅力を感じて、携わるようになりました。
作品に対するこだわりは?
末長く使ってもらえること、がいちばんです。そして「新しさ」ですね。守るだけでなく、新しいことにチャレンジしていかなければきっと衰退してしまう。「漆ってこんなにいろんなことができるんだ」っていうことをもっと多くの人に知ってもらいたいです。
どんな色が出せるんですか
純白と淡いパステルカラー以外なら。漆の色は茶色なのですが、時間が経つと透明になっていくんです。この色を再現してほしいとオーダーを受ける際は、経年変化を見据えて色を合わせます。
漆塗りは使われ方、時の流れでも色の出方が変わるので、漆は生きていることを楽しんでいただけたらと思います。
鎌倉彫がどんな風に広がることを思い描いていますか
今、鎌倉には海外の人がたくさん来てくださっていますからね。鎌倉独特の血、というか、日本の文化として海外へアピールしていきたいですね。
小学生が年に1回おこづかいで鎌倉彫の箸を買っていく、そのくらい気軽に身近になってほしいなと思います。
飯笹先生、ありがとうございました。
インタビュアー:鈴木心彩